【Shadowverse】ナーフされたカードは何コスト踏み倒していたのか?③~根源への回帰~【シャドバ】

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根源への回帰 (2016/9/30にナーフ)

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"根源への回帰"

コスト5 エルフ スペル

お互いのフォロワーすべてを手札に戻す。

変更点:コスト5→7

Shadowverseの第一弾クラシックカードパックに収録されているカード。ナーフ前はAoE*1として主に冥府エルフで使われていたらしい。またエルフか。

余談だが、このカードのナーフ時には、ナーフ理由として運営から'過剰なストレス'を与えるカードだからという説明がされた。'過剰なストレス'という、あまりにも印象的な表現は当時のプレイヤーの間で話題になった。

このカードの適正コストについて考えてみよう。

 

適正コストの検証に必要な情報

"根源への回帰"の適正コストは、以下のコストが分かればよい。

  • フォロワーを手札に戻すのに必要なコスト
  • 全てのフォロワーに影響を及ぼすのに必要なコスト

そのため、上の2つのコストについて検証していく。

 

フォロワーを手札に戻すのは?コスト

Shadowverseには相手のカードを手札に戻す、いわゆるバウンス効果を持つカードが非常に少ない。第十弾まで発売された現在でも("根源への回帰"を含めても)全部で9枚しかなく、しかもベーシックカードと第一弾・第二弾のカードがその内の6枚を占めていて、それ以降はほとんど登場していないのだ。多分このカードのせいだと思います。

そして、初期の6枚の中で、戻せるカードに制限がないカードは、"根源への回帰"を含めて3枚ある。そこで、その中の1枚に注目しコストを検証したい。

 

"妖精のいたずら"から、'ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す'コストを検証してみる

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"妖精のいたずら"

2コスト エルフ スペル

自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す。
ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す。

第一弾クラシックカードパックに収録されているスペル。このカードは'ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す'効果の他に、'自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す'という効果を持っている。

ここで知りたいのは手札に戻すコストだから、もう一つの効果のコストが分かれば、このカードのコストからそれを引くことで求めることが出来る。

すなわち
['ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す'コスト]=[2("妖精のいたずら"のコスト)]ー['自分の~を手札に戻す'コスト]
というわけだ。

 

'自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す'のは0コスト(!?)

'自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す'コストについては、類似カードがあるので検証が容易い。

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"自然の導き"

1コスト エルフ スペル

自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す。
カードを1枚引く。

"自然の導き"は'自分の~を手札に戻す'効果と'カードを1枚引く'効果が1枚になったカードだ。次に'カードを1枚引く'コストを検証してみよう。

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 "知恵の光"

1コスト ウィッチ スペル

カードを1枚引く。

'カードを1枚引く'効果で最もシンプルなカードは1コストの"知恵の光"だ。恐らく'カードを1枚引く'のは1コスト強だろう。なぜなら"知恵の光"はエルフとは別リーダーのウィッチでしか使えないカードであり、ウィッチはスペルを沢山使うことが特徴付けられたリーダーなので、多少強めにされているだろうからだ。とはいえ、ニュートラルの"光の道筋"を見る限り、2コストにはならないはずなので、この推定を信じたい。

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"光の道筋"

2コスト ニュートラル スペル

カードを1枚引く。
他のカードの能力で、このカードが手札から捨てられたなら、カードを1枚引く。

さて、そういうことになると本題の'自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す'コストは何コストになるかというと…

"自然の導き"が1コストで、'カードを1枚引く'が1コストだから…

えっ?0コスト!?

まあ使うためには場にフォロワーを出さなきゃいけないデメリットでもあり、またファンファーレ*2を使ったり出来るメリットにもなると考えれば分からんでもないような…

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ジジジジジジ…*3

やっぱり開発がよく分からない。

※開発を擁護しておくと、エルフはこのような一旦手札に戻して使い回すことを前提としてデザインおり、エルフの強みになっている。そのため強気なコスト設定なのだろう。このような効果は第7弾の"妖精の奔流"などを見るに弱体化の傾向にあるように思える。

 

"'ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す'のは2コスト(!?)

ともかくこれで'ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す'コストが求められる。

すなわち
['ランダムな相手のフォロワー1体を手札に戻す'コスト]=[2("妖精のいたずら"のコスト)]ー['自分の~を手札に戻す'コスト]
から考えると、'自分の~を手札に戻す'コストが0だから…

えっ?2コスト!?

開発…。

※開発を擁護しておくと、バウンス効果が低コストなのはTCGではおかしなことではない。実際、"妖精のいたずら"もそこまで狂ったカードでもない。問題は、DCGのバウンスはTCGと比べて強いことにある。DCGの手札上限は厳密で、Shadowverseの場合は上限の9枚を超えて手札にカードが加わろうとする時、手札に入らず捨てられてしまう。これによって相手の手札枚数を調整することで、バウンス効果を除去と同じように使えたり、相手のドローを潰すことが出来てしまう。運営の『過剰なストレス』という言葉はこれを表したものだ。

 

全てのフォロワーに影響を及ぼすのに必要なのは?コスト

次に全てのフォロワーに影響を及ぼすのに必要なコストを検証してみる。

ShadowversePortalにてベーシックカードと第一弾の中から'フォロワーすべて'で検索してみると、結構な数のカードが出てきた。しかし、自分も相手も含めた効果を持つカードは意外と少ない。その中から検証に使えそうなカードを探してみると、"根源への回帰"と"妖精のいたずら"との関係が近いカードを見つけた。

"テミスの審判"と"異端審問"から求めてみる

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"テミスの審判"

6コスト ビショップ スペル

お互いのフォロワーすべてを破壊する。

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"異端審問"

2コスト ビショップ アミュレット

カウントダウン 1
ラストワード ランダムな相手のフォロワー1体を破壊する。

"テミスの審判"と"異端審問"の2枚だ。"テミスの審判"はShadowverseのAoEの代表格として知られているカードで、"異端審問"は"妖精のいたずら"と同じくランダムな相手フォロワーを対象にしたものだ。この2枚のコストの差が分かれば、全てのフォロワーを対象にするのに必要なコストが分かるはずだ。

といっても、"異端審問"はカウントダウンを持つアミュレット。単純にコスト比較は出来ない。"妖精のいたずら"はスペルなのでカウントダウンを持たない。つまり"異端審問"と同じ効果を持つスペルが何コスト相当なのかを知る必要があるので、カウントダウンが何コスト相当なのかを検証したい。

カウントダウン1は1コスト

といっても、カウントダウンの相当コストは非常に明瞭な形で示されている。

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"詠唱:聖獣への誓い"

2コスト ピショップ アミュレット

カウントダウン 2
ラストワード ホーリーフレイムタイガー1体を出す。

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"ホーリーフレイムタイガー"

4コスト ピショップ フォロワー

(効果なし)

"詠唱:聖獣への誓い"は2コスト2カウントダウンで、4コスト相当のホーリーフレイムタイガーを出すアミュレットだ。ホーリーフレイムタイガーがスタッツ8と4コストの標準コストの限界なので、実際は4コスト強といってもいいことを踏まえると、カウントダウン1は1コスト強であるといえるだろう。

全てのフォロワーに影響を及ぼすのに必要なのは3コスト

カウントダウン1が1コスト相当と見れば、"異端審問"は3コストのスペルと同程度の効果ということになる。つまり"テミスの審判"との比較をしてみると、フォロワーすべてに影響を与えるのに必要なコストは3コストということになる。

 

"根源への回帰"の適正コストは5コスト(!?)

これで'ランダムな相手のフォロワーを手札に戻す'コストと、これを全てのフォロワーに影響を及ぼすようにするためのコストが分かった。

これを踏まえると"根源への回帰"の適正コストは…

2('ランダムな相手のフォロワーを手札に戻す'コスト)+3(全てのフォロワーに影響を及ぼすようにするコスト)

=5

よって"根源への回帰"の適正コストは5だった。なんだ、開発は適正なカードを作っていたのか。つまりナーフされたのは、プレイヤー達が『過剰なストレス』に苛まれていたのを見て心を痛めた開発が、思いやりの心でコストを上げたにすぎなかったのか…。やっぱ開発って神だわ。シャドバプレイヤーの民度低すぎ

とはならない。

'ランダムな相手のフォロワーを手札に戻す'コストが2コスト?

適正コストとナーフされた後のコストの乖離にはいくつか原因があると思われるが、最も大きな違和感の原因は、初期の開発がバウンス効果を軽視していたことだと思われる。

上でも少し書いたが、*4Shadowverseにおいてのバウンス効果はかなり強い。TCGと同じように相手の攻め手を遅らせたり、盤面の驚異を取り除くといった用途の他にも、ドローの妨害による擬似的なハンデス・ドローロックを仕掛けることが出来る上、Shadowverse固有のシステムである進化を解除することも出来る。

このような多用途性を持っているバウンス効果のコスト設定を開発が誤ってしまったことがナーフの原因であると思う。これは適正コストの算出に初期のカードを基準に用いる弊害でもあるだろう。実際、新たにバウンス効果をほとんど作らなくなったのも、新しいバウンス効果を持ったカードが軒並みコストが重いのも、開発がバウンスが強いということを認識したからだろうと思う。むしろ学習しなかったら困る。

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ちなみに同じDCGのHearthStoneにおける"根源への回帰"とほぼ同じ効果のカードがこれ。こちらは6コストとなっており、"根源への回帰"とは違ってナーフなども受けていない*5。やっぱHearthStoneって神だわ。シャドバ開発の程度低すぎ

現在のShadowverseにおけるバウンス効果の適正値は、意欲もあるのでまた別の機会に検証してみたい。

おしまい。

*1:Area of Destructionの略。盤面をリセット出来るカードのこと。TCG用語では全体除去ともいう。

*2:コストを払って場に出た時に発動する能力。TCG用語のcip能力と近い。

*3:リノセウス。ターン中使ったカードの枚数分だけパワーアップするやべー能力を持ち、一撃必殺コンボを決めてくるやべーやつ

*4:'自分のフォロワー1体か自分のアミュレット1つを手札に戻す'のは0コスト(!?)を参照のこと

*5:違うゲームなので単純に比較できないが